中台章
2000年です。1985年からパラグライダーを始め、86年には菅平での開校をしました。今年は娘も生まれ人生に転換期を迎え様としています。15年が過ぎた今でも空を飛ぶ事の情熱は衰えません。しかし,いつしかその情熱は空を飛ぶ事を伝える為の情熱に変わり出した事に疑いの余地は有りません!一人でも多くの人に飛ぶ事の素晴らしさを伝えたい。それが私のライフワークである事は私が生まれる前から決まっていたのかも知れません。近年の社会の動きには目を見張る物が有ります。特に”速度”という事に関しては大変な勢いが有ります。そして”価値観の革命”特に日本的な今までの習慣や慣習と言った事柄に対して誰もが気が付いてしまったのではないでしょうか?良くない事は良くない!良い事は良いと素直にそして正直に言える時代がここ日本にも訪れたのではないでしょうか?まさに”文化”の到来です。空を飛ぶ事など誰も気にしないし、リスクのある事を避けたい。そう考えている人が少なくない事を誰もが知っているはずです。でも私どもはそれにこだわりを持ちたいのです。そしてそれは皆様の協力なしには実現出来ません。私達スタッフは本年度も前年度以上に努力する事をここでお約束をしたいと思います。ですから皆様も一日でも多く長野にいらして下さい。自然の中で出来る限り時間を過ごす事をお勧めします。
公約!
1.より多くバーベQパーティーを行います。
2.クラブハウスに子供の遊び場を作ります。
3.須坂に新しいテイクオフを作ります4.より皆様と話す機会を多く作ります
岸 正弘
ツアー情報でもお知らせしましたが、昨年度からゼロ・パラグライダースクールと合同でツアー展開していくことになりました。第1段がアメリカ・メキシコツアーでした。詳細は小林由紀恵さんのアメリカレポートに詳しく出ていますが、大成功だったと思っています。まず、ゼロの片岡さんが同行することに、大きな意味があります。レッスンのスペシャリストとしても有名ですし、人間的にもとても素晴らしい人です。前回のアメリカツアーでは誘導にタンデムにと、僕自身が手の回らないところに常にいて頂きとても助かりました。多くの指導者がいることによって、より安全にフライトをサポートできたり、よりフライトする幅や空域が広がったりとメリットは大きいのです。更に、他のクラブとの交流が深まりいい刺激になっています。基本的な技術、ライズアップやランディングがとても上手いのです。見習いたいところです。また、関西出身の方の独特なユーモアでいつも場が明るくなります。飛べなくて暗くなりがちな雰囲気もぶっ飛んでいきます。さて、今年のヨーロッパツアーでは、ミニクロカンをやってみたいと思っています。もちろん僕ではなく参加者のかたにです。クロカンといっても、どこか後ろにぶっ飛んでいくという日本的なモノではなく、隣のエリアのランディングにおりるという簡単なモノです。日本では、クロカンパイロットやなんだかんだで難しいし気後れしてしまいます。がヨーロッパではビッグエリアですからメインランディングが5km先なんてざらです。よって、隣のランディングに行くとなれば10km、15kmです。なんかクロカンした気がします。クロカンに成功した人はそこのランディングで待っていて下さい。迎えに行きますので。簡単なクロカンですが、注意点もいっぱいあります。まず、木がとても高いこと。30m級の木がごろごろしています。ツリーランにはくれぐれも注意して下さい。また、電線も判り難い、変な所におりると怒られます。まぁ、10kmさきがよく見えますので、隣のランディングにおりるということでいけば大丈夫です。勇んでいっても、天気がすべてのアウトドア、飛べない日もあります。そういうときはスキー・スノボーはどうでしょう。ホテルのあるシュトューバイタールの奥に3000m級の山々で、その頂には万年雪が夏でもたっぷりとあります。実際、夏場のスノーボードキャンプ地としても日本人やアメリカ人に人気があるそうです。たぶん、スイスやフランスに比べて物価が安いと言う事も影響しているのでしょう。レンタルグッズなども程度が良く、気持ちよく滑られる事請け合いです。また、お城見学という手もあります。中世のヨーロッパ建築やお城には息を呑むような壮言さがあります。ツアーの予算は思い切って、別項でも表記してある通り、35万円での予定です。もちろんサービスは従来どおり、飛行機、宿泊、食事、車、移動費、込みになっています。。フライトエリア等の詳細は、ヨーロッパツアーのリポートに詳しく書きましたので、御参照ください。皆さんといっしょにヨーロッパに行ける事を楽しみにしています。
栗島信之
行くべきか、留まるべきか?
パラの予約はしたものの天気予報ではあまり良い事を言っていない。そんな時は菅平に行ってみるべきなのか止めておいた方がいいのか、みなさんも判断に迷う事が良くあるでしょう。たとえば天気予報で降水確率60%と言っていたのでキャンセルをしたが、後日聞いたら曇っていたけどバリバリに飛べていた。また降水確率が0%で「今回は倒れるまで飛ぶぞ」と気合たっぷりで行ったら風がびゅーびゅー毎日ウェイティング。そんな悔しい体験を誰しもがしたことがあるのではないでしょうか。さて、そんな「究極の選択」をする時には何を頼りにしたら良いのでしょうか。 何をさて置き天気予報 天気予報は「穴の空くほど見ているのにやはり良く分からない」と言う人、こんな人はもういちど天気予報を見るポイントを考えてみましょう。天気予報では、天気図、週間予報、降水確率、アメダス、などたくさんの種類の予報が出されます。問題はそれぞれの予報の中から何を読み取るべきか、なのです。 まずは週間予報からです。この予報からは、雨が2、3日続きそうだとかその後はしばらく晴れそうだ。などの「大まかな天気変化の流れ」を見ましょう。しかしこの予報は日が経つに連れて前後にずれこむ事が良くあります。このずれの原因は気圧配置の変化や低気圧、高気圧の移動速度の変化などで、天気の変化サイクルにずれが起るためです。春や秋の天気では特に注意が必要です。天気図と合わせてみながら気圧配置の変化をチェックしましょう。「ポイントは大まかな流れを把握する事と毎日の変化のチェック」です。 当たり前の事ですが日付が近づけば近づくほど予報の信頼度は増していきます。 次に降水確率、これは2日前くらいから発表されます。多少の確率の前後変化はありますが大体あたります。しかしこの予報ではパラグライダーに大切な風についての情報は分からないのです やはり一番大切なのが天気図から見られる気圧配置です。
○低気圧高気圧が何処にあるか等圧線のうねり--風向きに影響
○等圧線の混み具合は ..風の強さ、勢力範囲
○移動性高気圧・低気圧の位置、速度は.快方に向かうのか、下り坂か
○前線はあるかまたその種類は .....雨の範囲
○寒気は張り出しているか .........大気の安定具合 などが天気図を見る時の注意点です。特に低気圧があればその位置、勢力、移動速度に注意しましょう。大切なのは降水確率だけではなく風の状況を十分に予測する事です。 それでも心配な人は そんな事を言われてもまだ迷ってしまう。と言った方、お気軽にクラブハウスに電話を架けてください。できる限りの情報を御提供します。また多少天気が心配なときでも勇気を出して出かけてみましょう。きっと楽しい事がまっています。
マスターコースの今年 今シーズンのマスターコース昨年良くある問い合わせについて
☆「午後からの参加でも大丈夫か。」「2時間ほど遅れての参加でもかわないか。」 これは基本的にはまったく問題ありません。レッスンのエリアは受付に掲示しておきますので確認してください。ただし機材の準備、スタッフ確保の問題がありますので、必ず予約時にその旨を伝えておいてください。
☆ 「当日の予約はOKか」 上の理由から出来る限り予約は早めに(特に平日の予約は)いただきたいのですが、やむおえずの場合は、とにかく連絡してください。可能な限り参加していただけるよう計らいます。しかしスタッフの確保などの理由でお断りする可能性もあります。レッスンが出来るよう今から計画を練っています。
そして皆さんを如何にして早く、楽しく、安全に高高度フライトへ飛び立たせる事が出来るかが我々の課題となるでしょう。皆さんも疑問点や質問、ご意見などがあるかと思います。たくさんの声をお聞かせください。では今年シーズンもよろしくお願いします。 ☆ 「B級ライセンスは具体的には何が出来たらいいの。」 簡単に言ってしまえば「確実なテイクオフ技術」「指定地着陸」という事になってしまいますが、それでは実もふたも無いですね。ではちょっと長くなりますが、具体的に我々がどんな所を見てB級ライセンスのOKを判断しているか説明します。 ○安全確実なテイクオフ スムーズな立ち上げ、安定、滑走。これはもう一所懸命練習してください。 様々なコンディション(風向、風速など)に合わせたテイクオフ技術 最終的なテイクオフの判断力。止めるべき時は止められる余裕を持ちましょう。
○グライダーをコントロール出来ているか まずは直線飛行です。どんな風向の中でも自分の行きたい方向へ真っ直ぐに行く事が出来るか。オーバーコントロールになってしまうとパラグライダーはぐらぐらと不安定になります。穏やかなコントロール操作を心がけましょう。旋回の時はバンクの大きさ、タイミングに合わせた引く、もどすの操作が必要です。一回で決められる流れの良い旋回を目指しましょう。
○高度感覚があるか。 自分がどのくらいの高さを持っているのかを把握出来ているか。そしてランディングからの高さに合わせた旋回をし、次のポジションに移動できているかです。ランディングと自分との位置関係をよく考えましょう。
○風向による対地速度の変化を意識しているか フォローでのランディングは大変危険です。対地速度を出来る限りゆっくりとするため、風向を把 握しアゲインストベースでの旋回、アプローチを心がけましょう。
○大気速度の違いによる滑空比の変化 ちょっと難しくなりますが大気速度です。簡単に言えばコントロールラインの引いている量を変えるとパラグライダー自体の速度が変化します。それにより滑空する角度が変わってくるという現象です。これを意識していないと、途中までは良かったのにコントロールの高さを変えたとたんに在らぬ所に飛んでいってしまったり、ランディングまで届かなかったりしてしまいます。
○どんな時でも風向きに合わせたランディングを意識しているか。いかなる状況下であろうと(たとえツリーランしようがアウトサイドしようがです)地面と接触する時にはゆっくりがベストでしょう。アゲインストフレアーは安全の絶対条件です。
○本人が自信を持ってフライトで来ているか。 いくら我々が「あなたはもう大丈夫です。高高度を飛んでみましょう。」といった所で本人が少しでも不安を持ち、フライトに怖さを感じているようでは高高度で楽しくフライトする事は出来ません。勿論出来得る限りのアドバイスは行いますが、全ての最終判断は本人に掛かっています。いつも自信を持ってフライト出来るよう心がけましょう。中にはあまり根拠の無い自信はあふれんばかりで、インストラクターを恐怖のどん底に陥れるケースも在ますが。 今シーズンのマスターコースの方向としては まずはもっともっとバリエーションに富んだレッスン内容にしていきたいですね。たとえばフライトのビデオ撮影、室内でのイメージトレーニング(危ない宗教ではありません)などなど。毎回のフライトの中でも、個人単位のレベルでその日の課題を明確にし、1フライトごとの的確なアドバイスを心がていきたいと思います。たとえ雨が降ろうと
小松潤
祝、2000年!とは言っても、もう3ヶ月も過ぎてますけどね。子供の頃から恐れていたノストラダムスの大予言も大はずれで、今となっては何だったのか。そんな事もあったよねって感じです。アルマゲドンも起らなかったと言う事で、ジオスポーツパラグライダースクールも2000年シーズンに突入します。また今年も色々と楽しいパラ仲間が増える様に頑張っていきたいと思っています。2000年も体験コースは、今まで同様「安全に、明るく楽しく元気よく」をモットーに沢山の方に空の良さ、飛ぶ楽しさを伝えられたらと思っています。沢山の方にこの楽しさを伝えるためにも、皆さんも大勢の方をどんどんと連れて来てください。いらした方には「来てよかった」また、連れてきてくださった方にも「連れてきてよかった」と言っていただける様な体験コースを目指していきます。体験コースと同様にマスターコースについても、バリエーション豊富な楽しいスクーリングを心がけ、「遊んでいたら上達していた」そんな講習が出来ればベストだと思っています。マスターコースの方には勿論、基礎技術の習得を目指していきます。しかし、菅平での講習は、マスターコースの方に限ったものではありません。ビジターやパイロットの方にも菅平でも練習していただきたいです。基礎技術を向上させることは、パラグライダーを操る土台を広げることになります。高高度に行ったから菅平は終わりと言うわけではありません。ところで、パイロットと言えば、ジオスポーツのホームエリア「須坂」です。昨年12月から冬季もオープンする事になり、地元の方や関東からの通いの方などにもいらしていただきました。関東からの通いの方につきましては、慣れない雪道での運転ご苦労様でした。だんだんと日も長くなり春を感じて来ます。須坂エリアもこれから「いい時期」に入ってきます。今年も皆さんに快適にエリアを使っていただける様、出来る限りのエリア整備に取り組んでいきたいと思います。エリアにシーズンオフが無くなりましたから、冬期お冬休みしていた方は、出遅れない様にいらして下さい。春にパラグライダーを思い出して夏には、バンバン須坂を飛んでください。春を感じてぼーとしていると、あっと言う間に夏は来てしまいますよ。 今年は、体験コース、マスターコースだけでなく、出来るだけ須坂エリアにも行きたいと思います。皆さんのやる気に負けない様に頑張っていきたいと思っていますので、皆さんもお友達や、仲間お集めて大勢でいらして下さい。皆さんの元気な笑顔をお待ちしています。ナ、風が吹こうと、充実したレッスンが出来るよう今から計画を練っています。そして皆さんを如何にして早く、楽しく、安全に高高度フライトへ飛び立たせる事が出来るかが我々の課題となるでしょう。皆さんも疑問点や質問、ご意見などがあるかと思います。たくさんの声をお聞かせください。では今年シーズンもよろしくお願いします。
片山敦史
シーズンの終わりに 昨年十月頃、鳥取で片岡義夫のもとパラの修行中だった私は、プロモーションの為日本を回っていた中台氏に出会いました。中台氏は二日程滞在され、その間色々な話を聞かせていただきました。その話の流れの中で、中台氏は突然思い出したようにこう言いました。「片山君、冬の間もパラ飛びたいでしょう。俺んとこ手伝いに来なよ。」 その頃冬の仕事を探していた私にとっては、その言葉は願ってもないチャンスでした。雪の上をパラで飛ぶという想像は大きな期待に変わっていきました。ただ一つ不安があったのですが、それは私がスノーボードをしたことが無く、これから先もしないだろうと想像していたうえでのことだったのです。中台氏に対しては常にスノーボードができない旨を言い続けましたが、相変わらず中台氏は「全然大丈夫。」と言うだけでした。 そしていざ菅平へ。初日の中台氏との待ち合わせは須坂のランディングで、「久しぶりです。」言った次の瞬間には車のタイヤ交換が始まっていました。これから何をするかもわからず、出稼ぎをするかのごとく長野までやってきて、その曇天の下、タイヤを交換しながら、これからの自分の行方に一抹の不安を感じずにはいられませんでした。 菅平での生活が始まると、それはとても厳しいものである事に気づきました。朝は七時頃に起き夜は十一時頃就寝するまで、普通の社会人の生活に雪山の生活、つまり、共同生活のルールや雪かきがプラスされた男だけで行わなければならない日常サイクルがあり、それは外から見るだけでは理解できない生活でありました。二日目にはボードを手渡され、栗島氏のレッスンの中で初めてボードというものに乗ってみました。そこで受けた一番の印象は、スノーボードがどうこうでなく、栗島氏のレッスンの上手さや喋り方のきれいさでした。関西人には関西人なりにていねいな喋り方はできるものの、彼のその喋り方や目線の向け方は何か関東人特有のものに感じ、インストラクターとして自分自身が劣っていると思わされました。私を含む新人スタッフは、そんな丁寧なレッスンを行うために、毎晩のようにレッスンの進め方についての説明を受けました。関西にいる時にはその様な事は想像もつかず、ジオのスタッフへの教育は本当に驚き以外の何者でもありませんでした。片岡が厳しい事は周知の事ですが、それとは幾分違っていました。そしてプレッシャーははじけんばかりにばかりに大きくなり、呼吸が乱れんばかりの緊張と毎日戦っていました。そんな日々を送りながら、これは自分自身の修行であると言い聞かせ互いに助け合いながら、新人スタッフは一日も早く一人前になれるように一様に努力していました。 我々はとにかく必死に社員の方々の指導についていき働いているつもりでしたが、それ以上に社員の方々はよく働きました。彼らには生活と仕事の区別が無いのかとさえ思えてなりませんでした。一つ屋根の下、しかもクラブハウスという場所で仕事をし、生活をし、その生活の中身は男だけで行わなければならないサイクルであって、彼らの精神的・肉体的疲労は必然的であると思っていました。それにしても、彼らはよく働きます。しかし、そのことが我々にも影響し、疲労感も全員で共有する傾向にあったと思います。其れが良い事か悪い事かは私にはわかりませんが、誰かが苦しんでいる時にその苦しみを癒すために、他の誰かは人を支えられるほど健康でありニュートラルでなければならないというのが私個人の意見です。疲労を隠し、笑顔で相変わらず丁寧なレッスンを行う彼らは、私には感心できるほどの精神力であり、私には持ち得てないものでありました。そんな中で我々も鍛えられつつ毎日を過ごしました。 そんなこんなで、もう春の空気を少しずつ感じれるこの時期になり、スタッフ全員が今までこの場で行ってきた事 が思い出に変わろうとしているのがまったく理解できず、私にはこの冬という過去の事がフィクションなのかノンフィクションなのか考えられない気さえおきています。それだけ色々な事があったという事でしょうか? パラグライダーが一日しか出来なかったという悔いは残りますが、スノーボードという一生やるまいと心に漠然と思っていたスポーツを上手な方々のなかで学べた事、ジオスポーツという会社を知れた事は、これからの私にとってプラスの方向に働くと確信しています。それ以上にもっと私にとって良かったとおもえる事は、この短い冬の間にこれから先もまた幾度も逢えるような仲間がつくれたことです。この仲間が歩んで行く道が、私の歩んで行く道に何度も交差する事を望んでいます。また一歩関東人に近づいてしまった私は、ジオスポーツにまけないようジオスポーツを刺激するくらいの人間に成長する事を心に秘め、関西に戻ります。本当にありがとうございました。